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仏壇の掛け軸(御本尊)の扱いと処分|宗派別の基礎知識
仏壇の掛軸とは、仏壇の中央に掛ける御本尊と、その両脇に掛ける脇掛のことです。仏壇の掛軸は、中央の御本尊と両脇の脇掛から成り、宗派によって組み合わせが決まっています。飾り方、サイズの選び方、魂抜きの手順と処分方法までを解説します。

仏壇の掛け軸(御本尊・脇掛)とは
このページの要点
- 仏壇の掛軸は、中央の御本尊と両脇の脇掛から成り、宗派によって組み合わせが決まっています。
- 宗派別:浄土真宗本願寺派は阿弥陀如来に親鸞聖人・蓮如上人、曹洞宗は釈迦牟尼仏に道元禅師・瑩山禅師、真言宗は大日如来に弘法大師・不動明王という組み合わせです。
- サイズ:豆代は総丈約13cm、100代は約19cm、50代は約25cm、20代は約33cm、10代は約38cmで、仏壇の内寸より3cm程度小さい総丈を選びます。
- 魂抜き:お布施は寺で行う場合10,000〜30,000円程度、自宅へ来ていただく場合10,000〜50,000円程度に御車代5,000〜10,000円程度が加わります。
- 処分の費用:菩提寺でのお焚き上げ5,000〜30,000円程度、合同供養3,000〜15,000円程度、仏具店の引き取り無料〜数千円、仏壇ごとの一括依頼20,000〜100,000円程度です。
仏壇の中に掛けられている掛軸は、大きく2種類に分かれます。
- 御本尊(ごほんぞん)
- 仏壇の中央、最上段の須弥壇の奥に掛ける、その宗派の中心となる仏や名号です。仏像の場合もあり、その際は掛軸ではなく彫像が中央に据えられます。
- 脇掛(わきがけ)
- 御本尊の左右に掛ける掛軸。宗祖や高僧、あるいは特定の菩薩を描いたものです。両脇に一幅ずつ、計二幅を掛けるのが一般的です。
この三幅(御本尊+脇掛二幅)を合わせて三幅対(さんぷくつい)と呼ぶこともあります。仏壇を購入する際に、仏具店で宗派を伝えて一式で揃えるのが通例です。
仕立ての特徴
仏壇用の掛軸は、一般の鑑賞用掛軸とは仕立てが異なります。
- 金襴を多用した仏表装(真の表装)で仕立てられます
- 風帯は垂れず、天地に縫い付けられた押風帯が多く見られます
- 寸法は仏壇の内寸に合わせた規格品が中心で、「三十代」「五十代」といった号数で表されます
- 裏に金具や紐を付けて、仏壇の背板に掛けやすくした「本尊掛け」形式のものもあります
近年は、印刷による量産品が主流です。手描きの肉筆や、金泥を用いた上等な仕立てのものは数が限られます。
宗派別の御本尊と脇掛の組み合わせ
宗派によって、中央に何を掛け、両脇に誰を掛けるかが定められています。代表的な宗派の組み合わせです。
| 宗派 | 御本尊(中央) | 左脇(向かって右) | 右脇(向かって左) |
|---|---|---|---|
| 浄土真宗本願寺派(西) | 阿弥陀如来 | 親鸞聖人 | 蓮如上人 |
| 真宗大谷派(東) | 阿弥陀如来 | 十字名号(帰命尽十方無碍光如来) | 九字名号(南無不可思議光如来) |
| 浄土宗 | 阿弥陀如来 | 善導大師 | 法然上人 |
| 曹洞宗 | 釈迦牟尼仏 | 道元禅師(承陽大師) | 瑩山禅師(常済大師) |
| 臨済宗 | 釈迦牟尼仏 | 脇侍は寺院により異なる(観音・達磨・開山など) | 同左 |
| 真言宗 | 大日如来 | 弘法大師(空海) | 不動明王 |
| 天台宗 | 釈迦牟尼仏または阿弥陀如来 | 天台大師 | 伝教大師(最澄) |
| 日蓮宗 | 大曼荼羅(十界曼荼羅) | 鬼子母神 | 大黒天 |
宗派の中でも派によって異なります
同じ宗派でも、本山や地域、寺院によって組み合わせが異なることがあります。正しい組み合わせは菩提寺にご確認ください。上の表は市販の仏具店で一般に案内されている組み合わせをまとめたものです。
宗派が分からない場合
実家の宗派が分からないという相談は多くあります。次の方法で確認できます。
- 菩提寺(葬儀や法事を依頼している寺)に尋ねる
- 仏壇の中の位牌の形や、過去帳の記載を見る
- お墓の墓石に刻まれた文字を確認する
- 親族に確認する
宗派が分からないときはどうすればよいですか?
御本尊の図像と脇掛の組み合わせから判別できます。中央が阿弥陀如来で脇に親鸞聖人・蓮如上人であれば浄土真宗本願寺派です。
仏壇の掛け軸の飾り方と配置
掛ける位置と順序には決まりがあります。
基本の配置
- 最上段の中央に御本尊を掛けます。仏像の場合は像を据え、その背後に光背として軸を掛けないこともあります。
- 御本尊の左右に脇掛を一幅ずつ掛けます。向かって右が「左脇」、向かって左が「右脇」です(仏から見た左右で呼びます)。
- 御本尊は脇掛より高い位置、または同じ高さに掛けます。脇掛が御本尊より高くならないようにします。
- 掛軸の下端が、下段の仏具にかからない高さに調整します。
掛け方
仏壇の背板には掛軸用の金具(軸受け)が付いています。掛軸の掛緒をここに引っ掛けるか、専用のスタンドに立てます。近年の仏壇では、マグネット式や差し込み式の軸受けも使われています。
仏壇内の環境
仏壇の中は、線香の煙と蝋燭の熱に晒されます。長年のうちに掛軸が煤けて黒ずむのはこのためです。換気の悪い部屋では特に進みやすいため、時々仏壇の扉を開けて風を通すと違います。ただし直射日光が当たる場所への設置は避けてください。
掛軸そのものの掛け方・扱い方の一般的な手順は掛軸の飾り方をご覧ください。
よくある誤解:宗派が違う掛軸でも飾ってよい
御本尊と脇掛の組み合わせは宗派ごとに定まっており、他宗派の図像をそのまま掛けることは通常しません。宗派が分からない場合は、位牌の書式や菩提寺に確認したうえで、寸法の合うものを選んでください。
掛け軸のサイズの選び方と仏壇の寸法
仏壇用掛軸の寸法は「代(だい)」という単位で表されます。仏壇の内寸に合わせて選びます。
| 呼称 | 総丈の目安 | 幅の目安 | 適した仏壇 |
|---|---|---|---|
| 豆代 | 約13cm | 約6cm | ミニ仏壇、モダン仏壇 |
| 豆代大 | 約16cm | 約7cm | 小型の上置き仏壇 |
| 100代 | 約19cm | 約8cm | 上置き仏壇(小) |
| 70代 | 約22cm | 約9cm | 上置き仏壇(中) |
| 50代 | 約25cm | 約10cm | 上置き仏壇(大)・台付仏壇(小) |
| 30代 | 約29cm | 約12cm | 台付仏壇(中) |
| 20代 | 約33cm | 約14cm | 台付仏壇(大) |
| 10代 | 約38cm | 約16cm | 大型仏壇 |
数字が小さいほど大きくなる点にご注意ください。寸法は製造元により多少異なります。
選び方の手順
- 仏壇の最上段の内寸(高さと幅)を測ります
- 高さは、内寸から2〜3cm程度小さい総丈を選びます
- 三幅を並べたときの合計幅が、内寸の幅に収まるかを確認します
- 脇掛は御本尊より一回り小さいものを選ぶのが通例です
実物を持って仏具店に行くか、内寸を測ってメモを持参すると確実です。
買い替えの際の古い掛け軸の扱い
仏壇の買い替え、引っ越し、実家の整理などで、古い掛軸をどうするかという場面が生じます。
まず確認すること
- 新しい仏壇に寸法が合うか(合えば引き継げます)
- 煤けや傷みの程度(黒ずみが強い場合は買い替えが一般的です)
- 宗派が変わっていないか(改宗している場合は組み合わせが変わります)
- 手描きの肉筆か、印刷の量産品か
扱いの選択肢
| 方法 | 手順 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 新しい仏壇に引き継ぐ | 寸法が合えばそのまま掛ける | 0円 |
| 菩提寺で供養して処分 | 魂抜きを依頼し、お焚き上げ | 5,000〜30,000円程度 |
| 仏具店に引き取ってもらう | 新しい掛軸の購入時に相談 | 無料〜数千円 |
| 合同供養に出す | 供養を受け付ける寺社へ持ち込みまたは郵送 | 3,000〜15,000円程度 |
| 買取を依頼する | 肉筆・古いものは査定を受ける | 0円(査定は無料) |
費用は寺社や業者により幅があります。事前にご確認ください。
そのまま捨ててよいか
法令上、仏壇の掛軸をごみとして出すことを禁じる規定はありません。ただし魂入れ(開眼供養)を済ませた御本尊は、魂抜きを経てから処分するのが慣例とされています。宗教的な決まりというより、気持ちの区切りとしての意味が大きいものです。
魂抜き(お性根抜き)の手順と依頼先
魂抜き(たましいぬき)は、閉眼供養、お性根抜き、遷仏法要などとも呼ばれます。仏壇や御本尊に宿るとされる魂を抜き、ただの物に戻すための法要です。
手順
- 菩提寺に連絡する:檀家であれば菩提寺が第一の依頼先です。日程を相談します。
- 日時を決める:仏壇の引き取りや処分の日程と合わせて調整します。
- 準備をする:仏壇の中を掃除し、お花、線香、灯明を用意します。お布施を封筒に包みます。
- 法要を受ける:読経は15分から30分程度が一般的です。立ち会う家族の服装は、礼服でなくても地味な平服で構いません。
- 処分または引き取り:法要後、掛軸や仏具を処分に出します。寺で引き取ってくれる場合もあります。
お布施の目安
| 内容 | 金額の目安 |
|---|---|
| 魂抜き(寺で行う場合) | 10,000〜30,000円程度 |
| 魂抜き(自宅へ来ていただく場合) | 10,000〜50,000円程度 |
| 御車代(自宅の場合) | 5,000〜10,000円程度 |
| お焚き上げ・引き取りを含む場合 | 上記+5,000〜20,000円程度 |
金額は寺院、地域、宗派によって大きく異なります。「お気持ちで」と言われた場合、同じ寺の檀家に相場を尋ねるか、率直に目安を伺って差し支えありません。
菩提寺がない場合
付き合いのある寺がない場合は、僧侶手配サービス、宗派本山の相談窓口、仏具店の紹介などを利用する方法があります。宗派が分からない場合でも対応してもらえることが多いものです。
仏壇の掛け軸の処分方法と費用の目安
魂抜きを済ませた後の処分方法です。掛軸単体の場合と、仏壇ごと処分する場合で手順が変わります。
| 方法 | 費用の目安 | 所要期間 | 向いている場合 |
|---|---|---|---|
| 菩提寺でお焚き上げ | 5,000〜30,000円程度 | 数日〜数週間 | 檀家である、丁重に扱いたい |
| 合同供養(持ち込み) | 3,000〜15,000円程度 | 日程による | 菩提寺がない |
| 郵送供養 | 5,000〜15,000円程度+送料 | 1〜3週間 | 遠方、持ち込みが難しい |
| 仏具店に引き取り依頼 | 無料〜数千円 | 購入時に同時 | 買い替えと同時 |
| 自治体の可燃ごみ | 0円〜 | 次の収集日 | 魂抜き済み、量が少ない |
| 仏壇処分業者に一括依頼 | 20,000〜100,000円程度 | 1〜2週間 | 仏壇ごと処分する |
費用は事業者や寺院により幅があります。仏壇本体の処分と併せて依頼する場合、掛軸の分は別途加算されないことが多いものです。
掛軸全般の処分方法の比較は掛軸の処分方法にまとめています。
古い仏壇の掛け軸は買取できますか?
肉筆や金襴表装のものは対象です。ただし量産の印刷軸は値が付かない場合が多く、その際は寺院での供養をご案内します。
ご依頼のなかでは、仏壇の処分に合わせて掛軸だけが残されている例が多く見られます。本紙が肉筆で金襴表装のものは評価が付きますが、量産の印刷軸は値が付かないことがほとんどです。その場合は寺院での供養をご案内します。
買取・査定を検討する場合(関連情報)
仏壇の掛軸は、多くが印刷による量産品のため、値が付かないことも少なくありません。ただし次に当てはまる場合は、査定を受ける価値があります。
- 手描き(肉筆)である。ルーペで見て網点がない
- 金泥や截金(きりかね)が用いられ、装飾が精緻である
- 江戸期以前と思われる古いもので、絹本に描かれている
- 寺院から下賜されたもので、箱書や由緒書が付いている
- 日蓮宗の大曼荼羅で、高僧の筆によるもの
- 軸先が水牛角など、木以外の素材である
当方では、仏壇の掛軸も査定の対象としています。魂抜きがまだお済みでない場合も、査定だけ先に受けていただいて構いません。値が付かない場合は、供養や処分の方法をご案内します。
仏壇用掛軸の買取については仏壇用掛軸(御本尊)買取、仏画・曼荼羅は仏画・曼荼羅掛軸買取で価格帯と評価のポイントを解説しています。仏壇本体の整理と同時に進めたい場合は、出張買取でまとめて拝見できます。
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ほかの記事は掛軸コラム一覧から読めます。あわせて仏壇用掛軸買取、仏画・曼荼羅掛軸買取をご覧ください。
よくあるご質問
仏壇の掛け軸(御本尊・脇掛)とはどういうものですか
仏壇の中央最上段に掛けるその宗派の中心となる仏や名号が御本尊、その左右に掛ける宗祖や高僧、菩薩の軸が脇掛です。両脇に一幅ずつ、御本尊と合わせて三幅で一組とするのが一般的です。仕立ては金襴を多用した仏表装で、風帯は天地に縫い付けた押風帯が多く見られます。寸法は仏壇の内寸に合わせた規格品が中心で、「三十代」「五十代」といった号数で表されます。
宗派ごとに御本尊と脇掛の組み合わせは違うのですか
宗派ごとに定められています。浄土真宗本願寺派は阿弥陀如来に親鸞聖人・蓮如上人、真宗大谷派は阿弥陀如来に十字名号・九字名号、浄土宗は阿弥陀如来に善導大師・法然上人、曹洞宗は釈迦牟尼仏に道元禅師・瑩山禅師、真言宗は大日如来に弘法大師・不動明王、日蓮宗は大曼荼羅に鬼子母神・大黒天が一般的です。同じ宗派でも本山や地域により異なるため、菩提寺にご確認ください。
実家の宗派が分からない場合はどうすればよいですか
菩提寺(葬儀や法事を依頼している寺)に尋ねるのが最も確実です。付き合いのある寺が分からない場合は、仏壇の中の位牌の形や過去帳の記載、お墓の墓石に刻まれた文字、親族への確認から判明することがあります。現に掛かっている御本尊と脇掛の図像からも見当が付き、中央が阿弥陀如来で脇が親鸞聖人と蓮如上人であれば浄土真宗本願寺派と考えられます。
仏壇の掛け軸はどの位置にどう掛けるのですか
最上段の中央に御本尊、その左右に脇掛を一幅ずつ掛けます。向かって右が「左脇」、向かって左が「右脇」で、仏から見た左右で呼びます。脇掛が御本尊より高くならないよう、御本尊は脇掛と同じか高い位置に合わせ、掛軸の下端が下段の仏具にかからない高さに調整してください。仏壇の背板には軸受けが付いており、掛緒を引っ掛けるか専用のスタンドに立てます。
仏壇のサイズに合う掛け軸はどう選べばよいですか
最上段の内寸(高さと幅)を測り、高さより2〜3cm程度小さい総丈を選びます。仏壇用掛軸は「代」という単位で表され、100代が総丈約19cm、50代が約25cm、30代が約29cm、20代が約33cm、10代が約38cmと、数字が小さいほど大きくなります。三幅を並べた合計幅が内寸に収まるかも確認し、脇掛は御本尊より一回り小さいものを選ぶのが通例です。
仏壇を買い替えるとき、古い掛け軸はどうすればよいですか
まず寸法が新しい仏壇に合うかを確認してください。合えばそのまま引き継げます。黒ずみが強い場合や改宗している場合は買い替えが一般的です。手放す場合は、菩提寺での供養(5,000〜30,000円程度)、仏具店への引き取り依頼(無料〜数千円)、合同供養(3,000〜15,000円程度)、買取という選択肢があります。仏壇内は線香の煙と蝋燭の熱に晒されるため、長年のうちに煤けて黒ずみます。
魂抜きはどこに頼み、いくらかかりますか
菩提寺が第一の依頼先で、お布施の目安は寺で行う場合10,000〜30,000円程度、自宅へ来ていただく場合10,000〜50,000円程度に御車代5,000〜10,000円程度を加えた額です。読経は15分から30分程度が一般的で、服装は地味な平服で構いません。付き合いのある寺がない場合は、僧侶手配サービス、宗派本山の相談窓口、仏具店の紹介という方法があります。金額は寺院や地域により大きく異なります。
仏壇の掛け軸をそのまま捨ててもよいですか
法令上、ごみとして出すことを禁じる規定はありません。ただし開眼供養(魂入れ)を済ませた御本尊は、魂抜きを経てから処分するのが慣例とされています。宗教的な決まりというより、気持ちの区切りとしての意味が大きいものです。
古い仏壇の掛け軸に買取価格が付くことはありますか
肉筆で金襴表装のものは対象になります。ルーペで見て網点がない、金泥や截金が用いられ装飾が精緻、江戸期以前と思われる絹本、寺院から下賜され箱書や由緒書が付く、日蓮宗の大曼荼羅で高僧の筆、軸先が水牛角、といった条件のいずれかに当てはまる場合です。ただし近年の量産の印刷軸は値が付かないことがほとんどで、その場合は寺院での供養をご案内します。